いろいろ2015/05/16

悠くん、高等部を卒業してからM園にお世話になり、
今年6年目になります。
悠くんはもうすっかり慣れて落ち着いています。
悠くんの様子を見ていると・・・
全く言葉が理解できない状態で、細かい施設内のルールを
全部覚えてしまうのには4~5年はかかるようです。

言葉や文字での説明を理解できる私でも、まったく初めての新しい場所に慣れるのには1~2年はかかるだろうと思います。
知的障害が重いので、文字や記号の意味がまったく解らない
し言葉の理解も全く出来ない状態なので、暗黙の了解的な社会通念的なルールなども解っていません。
とにかく目で見て身体で体験して覚えることになるでしょうから時間がかかるのは当然ですね。

最初の頃は初めての場所に緊張しすぎて借りてきた猫のような状態でした。
この頃はストレスをおねしょという形で出していました。
少し慣れてきた頃、3~4年目ぐらいですか?
他傷が出始めました。

これは職員さんたちが悠くんのことを誤解していて、能力を高く評価しすぎていた部分と、精神科の病院を変わって薬の種類と量を調節しはじめたこととが重なっていたと思います。

大きな誤解は次の2点じゃないかなぁと思います。

・こちらの言うことが通じるように見えること。
・コミュニケーションブックに入っている写真を理解して使っていて、
 写真が理解できるように見えること。

これは実際に悠くんを見た人が必ず私に「ほんとに理解できていないの??」と質問してくる項目です。
言葉も記号も絵も何も理解しませんと伝えているのですが・・・
悠くんの行動にだまされるようです。



悠くんが実際に使っているのは写真のカードです。
でも写真カードと言うと写真が理解できると誤解されてしまいます。
悠くん、言葉も文字も記号も理解できないのですから
もちろん写真なんて難しいものは理解できません。
使っている写真カードを見て、能力以上の評価を
されてしまうのですが、実は具体物しかわかりません。
そのぐらい知的障害が重いです。

ですので・・・・
悠くんが使っているのは、場面場面にマッチングさせてきた
具体物をカードサイズにしたものです。
小さい頃からこつこつとやってきたおかげで理解できているのだと思います。






悠くん、コミュニケーション力はかなりあると思います。
親ばかかもしれませんがw

いつの頃か忘れましたが・・・
目で見たものを情報として優先する時期から、コミュニケーション(やり取り)を通しての情報を優先する時期に切り替わりました。
交渉をする能力がついた頃です。

・絶対伝えようという姿勢。
  伝わらなかったら別のものを持ってくるということを
  し始めました。
・こちらからの情報をなんとかして理解しようという姿勢。

この2つの姿勢が悠くんに出てきたことはものすごく大きいです。
やり取りがすごくやりやすくなりました。






いつも行く大好きな市民プールの前を、プールの道具を持って通り過ぎるということをした場合、「今日はプールは行かない」ということを理解していれば、何の問題も起きません。
いつもプールに行く道を通ってプールに向かうけれどもプールには寄らずに通り過ぎる。

きちんとやり取りを通して伝わっていれば何も問題はおきません。
今の悠くんは特に問題を起こしません。


見たものや体験を優先する段階の場合は・・・
「プールに行く道」「プールの建物」「プールの道具」この3つで当然フールに行くと思い込んでしまい通り過ぎたら怒り出すかもしれません。
悠くんも小さい頃、きちんとスケジュールで伝えていても、まだ見たものや体験を優先する時期には、通り過ぎたところで突然パニックのようになり暴れて噛みついていました。

ですのでこういう場合はすごく丁寧に伝えていました。
『車』『プール×』『スーパー』『車』『家』
歩いて○○スーパーに行って車で帰ってくるけれど、
プールは行きません。
常に伝えるものを持ち歩いていて、何度も何度も伝えながら行動していました 
 http://www.ne.jp/asahi/autism/sally-tree/sub0603.htm

「プールは行きません」これを伝えることはすごく大切でした。
悠くんが関心を持っていることがあるのかないのか「ある」だけではなく「ない」も伝えないときちんと伝えたことにはなりませんでした。




小さい頃から他傷がすごくて、きっと大人になったら強度行動障害まで行くと思っていました。
「言葉が出たら噛み付かなくなる」とよく言われますがまさにその通りですね。
コミュニケーションが十分に取れるようになったら他傷がなくなりました。
コミュニケーションが取れないまま大きくなっていたら、きっと今では手が付けられないぐらいの状態になっていたのではないかと思っています。