「していいこと」を伝える ― 2015/10/09
悠くんの知的レベルでは不可能ではないかと思います。
このグループに属することはダメなこと」というような説明が
出来ないし、一つ一つ全てのことを伝えるのは無理です。
「なぜ」の説明が出来ないので・・・
現行犯逮捕みたいにその時その瞬間に禁止を伝えれば
その場所での同じ行動はしなくなるかもしれません。
でも場所が変われば・・・ということになるでしょう。
してはいけないことを教えるのは難しいです。
なので・・・
全部を「勝手にしてはいけないこと」にして
「していいこと」だけ伝えればいいということです。
コミュニケーションが全く取れない状態では
「伝える」ということを知らないのですから
全部が勝手にしないと手に入りません。
ほしいものは勝手に手を伸ばして取る。
行きたいところに勝手に走っていく。
そして叱られる
幼児の頃の悠くんはこの状態でした。
誰でもそうですが、「叱られること」は大嫌いです。
特に超過激な悠くんはよく叱られていました。
でもコミュニケーションが取れるようになって
「勝手に」じゃない方法を身につけると、
「勝手に」は叱られるけれど、ちゃんと伝えて許可を貰えば
叱られないということに悠くんは気がついたようです。
ですので今は「していいこと」だけを伝えます。
それ以外は叱られるかもしれないので悠くんは勝手にはしません。
「やってもいいか?」と聞いてきます。
十分にやり取りが出来るようになるまでには、すごくおどおどと
してるような時期がありました。
「伝える」力も理解もまだ不十分で「伝わらない=ダメと言われた」と
思い込んでもいました。
自分から伝えてくる力がなかなか育たず「指示待ち」というような状態でした。
これが小学生ぐらいの頃です。
中学生~高校生の頃には十分にやり取りの力が育ってきました。
伝わらなければ別の方法で伝えるということをしてくるようになり、
こちらが伝えようとしていることをなんとか理解しようとする姿勢が出てきました。
コミュニケーションの力がかなり育ったこの頃には
悠くんは叱られない方法を身につけました。
「やっていいか?」と聞いてからすると叱られないということに
長いことかかって気がついたようです。
悠くんは自分で判断できないことは勝手にしないで全部聞いてきます。
勝手に何もしないということはいいことなのですが、
自分で判断できないことが多すぎて一人では何も出来ません。
必ず支援者がそばについている必要があります。
この青信号を渡っていいのかどうかを悠くんは判断できません。
いつもの道が工事で通れなくなっていたら、悠くんはどうしたらいいか解りません。
別の道から行く方法を知っていたとしても今そこを通っていいのかが解りません。
なぜ今はそうなのかの理由が伝えられたら
そしてそれを悠くんが理解できたら・・・自分で判断できることが増えて
もっと自由に行動できるのだろうと思いますが、その「なぜ」を
悠くんにわかるように伝える方法をサリーは思いつきません。
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