サリーの樹～その後　【大人になった悠くん】

悠くんが受身なのでもっと自主的に行動できるようにしたいと
連絡帳に書いてありました。

受身？？
悠くんは受身ではありません。
確かに何でもかんでも「これしていいか？」「これはいいか？」というように
聞いてきて、許可がないと勝手にはしません。

悠くんが受身だから自主的に行動出来ないのではなく
悠くんが自主的に判断して行動できるだけの情報を提示してないから
ひとつひとつ確認をしてきて自主的に動けないのです。

いちいち確認して許可を求めるのは、
コミュニケーションが取れるようになったために出てきた行動です。
「いつ」「どれを」「」「どのぐらい」というような時間と場所と選択肢の情報などが
全て明確になっていれば、悠くんは確認をしてくることはありません。
本人が自分で判断できる範囲内のことであれば自分で勝手に行動します。


私たちが普段自分で何かを判断する時に、
時計やその日のスケジュール、周りの人の状況などなどをいろいろ考えて判断します。
ほんの小さなことでもそういうことをしながら瞬時に判断しているまずです。

時計も言葉も文字も理解できない、知的障害が重い悠くんにはその判断が全くできません。
知的障害が重い悠くんが自分で判断できるように、
それらの情報を全て悠くんが理解できるように提示することができれば、
不要な情報は捨てて、必要な情報だけを見て解るような形で悠くんに提示できれば、
悠くんは自分で判断して行動できるでしょう。

その情報の提示が・・・無理なのです。
言葉も文字も使わずに悠くんが理解できる具体物のみを使って
自分で判断できるだけの情報を提示するということは
不可能だと思っています。
悠くんの問題ではなく、サリーも含めて支援者の力量の問題と
思っています。


決して悠くんが受身なのではありません。
解らない事場合は勝手にするということをしないで、
きちんと聞いてくるだけです。
悠くんが確認が多く、自主的に行動しないのは
支援者の力量が足りないので仕方のないことと思っています。
コミュニケーションが取れるようになったために出てきた行動だと
思っています。


家の中ではサリーに何か聞いてくるということがあまりありません。
園から帰ってきて、おやつを自主的に自分で用意してさっさと食べますし、
おやつが終わると、自分でビーズを出してきて勝手に遊んでいます。
自分で出してきて終われば片付けますから・・・
サリーに何かを聞いてくるということの方が少ないです。

悠くんが自分で判断できる範囲内のことについては
自主的に行動しています。